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トラブル対処・Q&A 2026年05月27日

敷金返還訴訟の進め方と費用

敷金の返還を巡るトラブルが解決しない場合、訴訟という選択肢があります。本記事ではその進め方と費用を整理します。

はじめに

賃貸物件退去後、敷金が返還されない、不当な原状回復費用が差し引かれて返金額が少なすぎる――こうしたトラブルで貸主との交渉が決裂した場合、敷金返還訴訟という法的手段があります。少額の請求は比較的低コストで進められる「少額訴訟」という制度もあります。本記事では敷金返還訴訟の進め方、費用、注意点を整理します。

敷金返還の法的位置付け

敷金は、賃貸借契約上、賃料の滞納・原状回復費用などを担保するために借主が貸主に預ける金銭です。2020年4月施行の改正民法で「敷金」の法律上の定義が明文化され、退去時には未払賃料・善管注意義務違反による損害賠償債務などを控除した残額を、借主に返還することが義務付けられています(民法622条の2)。返還義務の発生時期は、賃貸借契約が終了し、物件の明渡しが完了した時点です。明渡し後、貸主は速やかに敷金から控除すべき金額を計算し、残額を返還する必要があります。一般的には退去後1〜2ヶ月以内の返還が実務慣行ですが、契約書での取り決めにより期日が定められることもあります。控除できる金額は、未払賃料・原状回復費用・損害賠償債務などに限られます。敷金から控除する場合、貸主は控除根拠を明らかにする責任があり、その金額が妥当であることを示す必要があります。借主は控除内容の妥当性を確認し、不当な控除があれば返還を求めることができます。これが敷金返還トラブルの中心テーマで、原状回復費用の妥当性が主な争点となります。

少額訴訟と通常訴訟

敷金返還を求める訴訟手段としては、少額訴訟と通常訴訟の二つがあります。第一に、少額訴訟です。請求金額が60万円以下の金銭請求に利用できる簡易な訴訟手続きで、原則として1回の期日で審理を終え、即日判決が言い渡されます。手続きが簡素で、当事者本人での進行も可能です(弁護士なし可)。費用も比較的安く済みます。敷金返還訴訟の多くは少額訴訟で対応できます。注意点として、少額訴訟は原則として年10回までの利用制限があり、被告(貸主)が通常訴訟への移行を求めれば、通常訴訟に移行します。第二に、通常訴訟です。請求金額に制限がなく、複雑な事案にも対応できる訴訟形式です。60万円超の請求、複雑な争点がある場合、被告が通常訴訟への移行を求めた場合などに利用します。複数回の期日で審理が進み、判決まで数ヶ月〜1年程度かかることが多くなります。弁護士に依頼する場合の弁護士費用も発生します。第三に、訴え提起前の対応として、内容証明郵便での催告です。訴訟提起の前に、内容証明郵便で敷金返還を請求し、回答を求めます。これにより、貸主の対応姿勢が確認でき、訴訟を回避できる可能性もあります。回答がない・拒否される場合に、訴訟提起に進みます。第四に、調停の利用です。家庭裁判所・地方裁判所(簡易裁判所)の民事調停は、訴訟より柔軟な話し合いの場で、調停委員の仲介で和解を目指します。費用が安く、関係維持の観点でも有効な選択肢です。

訴訟費用と必要書類

敷金返還訴訟の費用と必要書類を整理します。費用としては、第一に、印紙代です。訴訟提起時に裁判所に納める手数料で、請求金額に応じて段階的に決まります。10万円までなら1000円、30万円までなら3000円、60万円までなら6000円が目安です。第二に、郵券(切手)代です。裁判所からの書類郵送用に納める切手代で、数千円程度が必要です。第三に、弁護士費用(依頼する場合)です。弁護士に依頼する場合は着手金・成功報酬が発生します。少額の敷金返還なら本人訴訟(弁護士なし)で進めることが多いですが、複雑な争点や交渉が困難な場合は弁護士相談・依頼が有効です。費用の合計は、少額訴訟で本人訴訟なら1〜2万円程度、弁護士に依頼する場合は10万円〜20万円程度が目安です。必要書類としては、第一に、賃貸借契約書(敷金額・原状回復に関する規定が記載されたもの)。第二に、敷金預け証・領収書(敷金支払いの証拠)。第三に、退去時の状態記録(写真・動画・立会い書面など)。第四に、貸主からの精算書・見積書(敷金から差し引かれた金額の根拠)。第五に、貸主との交渉記録(メール・書面・録音など)。これらを揃え、自分の主張を裏付ける証拠とします。証拠が充実しているほど、訴訟・調停で有利に進められます。

まとめ

敷金返還訴訟は、少額訴訟という低コストな手段が用意されており、本人訴訟でも比較的進めやすい制度です。十分な証拠の準備、ガイドラインに基づく主張、必要に応じた専門家相談で、適切な解決を目指しましょう。バナナハウス株式会社では、苫小牧で敷金返還を含む賃貸退去時のトラブル相談、専門家のご紹介を承っております。


この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。