会社名義で所有している不動産を売却する場合、個人売却とはまったく異なる税制が適用されます。譲渡所得という概念がなく、通常の事業利益として法人税の対象になるため、節税の考え方も変わってきます。本記事では苫小牧で法人所有物件を売却する経営者向けに、実務ポイントを整理します。
はじめに
苫小牧では中小企業の経営者が自社ビルや社宅、福利厚生用の保養所、あるいは投資目的のアパートを法人名義で所有しているケースが多くあります。事業環境の変化や事業承継、あるいは資産整理のために法人所有不動産を売却する場面も増えてきました。しかし「個人と同じ感覚」で売却を進めると思わぬ税負担に驚くことがあります。法人売却は個人売却と税制が大きく違うため、事前に仕組みを理解しておくことが必要です。本記事では法人売却特有のポイントを整理します。
法人売却と個人売却の根本的な違い
最大の違いは課税方法です。個人が不動産を売却すると、給与など他の所得とは別枠で「譲渡所得」として分離課税されます。一方、法人が売却した場合は、売却益が事業利益と合算されて通常の法人税が課税されます。実効税率は中小企業で約23〜33%程度(所得規模により変動)で、個人の長期譲渡所得20.315%より高くなることが一般的です。
短期・長期の区別もありません。所有期間が1年でも30年でも、売却益は通常の利益として扱われます。3,000万円特別控除や買換え特例の一部も個人専用で、法人では使えないものが多くあります。一方で、法人ならではのメリットもあります。たとえば売却損が出た場合、本業の利益と相殺して全額損益通算が可能です。さらに最大10年間の繰越控除も使えるため、将来の利益と相殺できます。
また、法人ではあらゆる費用を経費化しやすい点も特徴です。売却に伴う仲介手数料、測量費、解体費はもちろん、売却交渉のための出張費や打ち合わせ会食費なども経費として計上できます。個人売却より柔軟な経費処理が可能な点は、法人ならではの強みです。
法人売却特有の注意点
法人売却で見落としやすいのが「役員への低額譲渡」の問題です。社長個人が会社から不動産を買い取る場合、時価より安く譲渡すると会社側に「時価との差額が役員賞与」として認定され、所得税・住民税が課税されるリスクがあります。逆に高すぎる価格で売ると会社の利益が水増しされ、法人税が増えてしまいます。グループ間取引では必ず時価評価を取り、第三者性のある価格で取引することが鉄則です。
もう一つの注意点は「消費税」です。個人売却では建物部分でも非課税ですが、法人売却では建物部分に消費税が課税されます(土地は非課税)。たとえば建物価格2,000万円なら200万円の消費税が上乗せされます。買主が事業者でない場合、消費税分を吸収できず実質値下げになることもあるため、価格設定時にしっかり考慮してください。免税事業者の法人なら消費税は発生しませんが、課税事業者の場合は申告も必要です。
また、決算期との関係も重要です。決算期末に近い時期に売却を計上すると、その期の法人税が大きく増えることがあります。決算月をまたぐタイミングで売却すれば翌期にずらせるため、税負担を平準化できる場合もあります。決算シミュレーションを顧問税理士と事前に行いましょう。
法人売却を有利に進めるための実務戦略
法人売却を有利に進めるには、いくつかの戦略があります。第一に「売却益が大きい年は他の経費を増やす」ことです。設備投資や修繕費、人件費の前倒し計上で利益を圧縮できます。役員退職金の支給と組み合わせれば、退職金は経費になり受け取る役員側は退職所得として優遇税制が受けられ、双方にメリットが出ます。
第二に「複数物件をまとめて売却し、損失と利益を相殺する」方法です。含み損のある物件と含み益のある物件を同時に売れば、所得を抑えられます。苫小牧で複数の収益物件を持っている経営者なら、出口戦略として検討する価値があります。
第三に「事業承継と組み合わせる」ことです。後継者への事業承継時に資産を整理する場合、事業承継税制の特例措置を活用できる場合があります。また法人を清算する場合は、清算所得の特例が使える可能性もあります。これらは制度が複雑なため、税理士と弁護士に相談しながら進めるべきです。バナナハウス株式会社では信頼できる士業ネットワークもございますので、出口戦略全般のご相談を承れます。
まとめ
法人所有不動産の売却は、個人売却とは税制も実務も大きく異なります。譲渡所得の特例が使えない代わりに損益通算や繰越控除、経費化の柔軟性などのメリットがあります。決算期との関係や役員取引の時価評価、消費税の扱いなど注意点も多いため、税理士との連携が不可欠です。バナナハウス株式会社では苫小牧の法人所有不動産の売却を多数サポートしてきた実績があります。出口戦略でお悩みの経営者の方はぜひお問い合わせください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。


