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居住用財産の譲渡損失の損益通算と繰越控除|売却損を給与所得と相殺
ローン・税金 2026年05月28日

居住用財産の譲渡損失の損益通算と繰越控除|売却損を給与所得と相殺

マイホームを売却して損失が出た場合、給与所得・事業所得と損益通算し、控除しきれない分は翌年以降3年間繰越できる特例。新居取得型と特定譲渡損失型の2制度、適用要件と申告手続きを実例で解説します。

はじめに

「ローン残高が高い時期に家を売却したら大幅な譲渡損が出た」「新居買換のために旧居を売却したが、購入時より安い価格でしか売れなかった」――マイホームの売却で損失が出た場合、その損失を給与所得と相殺できる「居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除」という強力な特例があります。本記事では制度の2類型(買換型・特定譲渡損失型)、適用要件、申告手続きを解説し、苫小牧市内で住み替えを検討する方への活用ガイドを提供します。

制度の概要|2類型と損益通算の効果

【居住用財産譲渡損失特例の2類型】

  1. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除
     ・旧居を売却して新居を取得する「買換型」
     ・旧居譲渡損失全額が損益通算・繰越控除の対象
     ・新居の住宅ローン控除と併用可能

  2. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
     ・旧居を売却し新居を取得しない場合や、別物件への買換でない場合の特例
     ・旧居の住宅ローン残債と売却価格との差額が控除対象
     ・新居を取得していなくても適用可能

【損益通算の効果】
譲渡損失を、給与所得・事業所得・不動産所得などの所得と相殺できます。所得税・住民税の節税効果は損失額×(所得税率+住民税率)。

【繰越控除】
譲渡した年の所得で控除しきれない損失は、翌年以降3年間繰越可能。最長4年間(譲渡年+繰越3年)の節税効果が得られます。

【具体例:苫小牧市内・買換型の活用】
取得価格2,800万円のマンションを20年所有後1,200万円で売却(譲渡損失1,600万円)、新居3,500万円を住宅ローン3,000万円で取得した夫婦(給与所得者・夫年収700万円)の場合:

譲渡損失:1,600万円

譲渡年の損益通算:
・給与所得700万円−譲渡損失700万円=総合課税所得ゼロ
・所得税:満額還付(年末調整で控除済みの分)
・節税効果:所得税23%+住民税10%=33% → 700万円×33%=231万円

繰越控除(残900万円):
・翌年所得から700万円相殺、節税効果231万円
・翌々年200万円相殺、節税効果66万円
・合計節税効果:231万円+231万円+66万円=528万円

加えて新居の住宅ローン控除(13年間で最大273万円)も併用可能。総合的なメリットは800万円規模になることも珍しくありません。

買換型の適用要件|旧居・新居・期間

【居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の要件】

【旧居の要件】
・自己が居住している家屋および敷地(または以前居住していた家屋で居住の用に供さなくなってから3年経過する日の属する年の12月31日まで)
・所有期間:譲渡年の1月1日において5年超
・売却前年・売却年・売却翌年に、譲渡損失以外の所得を有する者
・買換特例、3,000万円特別控除、軽減税率の特例等を併用していない

【新居の要件】
・床面積50㎡以上
・取得時期:旧居を譲渡した年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得
・住宅ローン:返済期間10年以上の借入金で取得(自己資金のみ取得は対象外)
・取得後居住:取得した日から翌年12月31日まで(または12月末までに居住見込み)
・取得後継続居住:以後一定期間居住すること

【所得制限】
譲渡損失の繰越控除を受ける年:合計所得3,000万円以下

【損益通算・繰越控除の限度額】
譲渡損失額が損益通算・繰越控除の対象。買換型は損失全額が対象です。

特定譲渡損失型の適用要件|新居取得なしでも適用可

【特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の要件】

【旧居の要件】
・自己が居住している家屋および敷地(または居住しなくなってから3年経過する日の属する年の12月31日まで)
・所有期間:譲渡年の1月1日において5年超
・譲渡日前日に住宅ローン残債がある(譲渡契約締結日の前日)
・売却価格<住宅ローン残債(オーバーローン状態)

【損益通算・繰越控除の限度額】
「住宅ローン残債−譲渡価額」と「譲渡損失」のいずれか少ないほうが対象。

例:取得価格2,800万円のマンションを売却価格1,200万円で売却、住宅ローン残債1,800万円
・譲渡損失:取得費1,200万円(建物減価償却後)−譲渡価額1,200万円=0円程度になる場合あり。または取得価格と売却価格の差1,600万円
・オーバーローン額:1,800万円−1,200万円=600万円
・控除対象:上記いずれか少ない方

新居を取得しない場合や、新居取得でも要件を満たさない場合は、こちらの特例を検討します。買換型より控除額が小さくなる傾向があります。

【所得制限】
譲渡損失の繰越控除を受ける年:合計所得3,000万円以下

申告手続きと注意点

【申告に必要な書類】
・確定申告書
・分離課税用申告書(第三表)
・居住用財産の譲渡損失の金額の明細書
・居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の対象となる金額の計算書
・売却した不動産の登記事項証明書
・売買契約書の写し
・取得時の売買契約書、登記事項証明書
・住民票
・新居の登記事項証明書(買換型の場合)
・新居の住宅ローン残高証明書(買換型・特定譲渡損失型ともに必要)

【申告期間】
譲渡した年の翌年2月16日〜3月15日。繰越控除は、損失が発生した年の翌年から3年間、毎年確定申告が必要。

【注意点1:3,000万円特別控除や買換特例との併用不可】
譲渡損失の損益通算・繰越控除は、3,000万円特別控除、軽減税率の特例、買換特例等と併用不可。譲渡益が出た場合の特例とは別物として理解する必要があります。

【注意点2:所有期間5年超が必須】
譲渡年の1月1日において所有期間5年超が要件。2021年取得・2026年売却は要件OK、2022年取得・2026年売却は要件NG(譲渡年の1月1日時点で4年経過のため)。

【注意点3:住宅ローン控除との併用】
新居の住宅ローン控除と本特例(買換型)は併用可能。ただし、譲渡損失の繰越控除を使う年は所得制限3,000万円以下、住宅ローン控除は2,000万円以下と所得制限が異なるため注意。

【注意点4:継続的申告】
損失発生年だけでなく繰越控除年も毎年確定申告が必要。途中で申告を怠ると残存控除が消滅。

【注意点5:所有期間の起算】
土地と建物で取得時期が異なる場合、別々に所有期間を計算。新築一戸建ての場合は建物の所有開始日が起算日。

まとめ

居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除は、マイホーム売却で大幅損失が出た方への強力な救済制度。買換型なら譲渡損失全額が損益通算・繰越控除の対象になり、新居の住宅ローン控除も併用可能で、合計500万円超の節税効果が得られるケースも珍しくありません。要件が複雑で申告ミスのリスクがあるため、税理士相談が安全。バナナハウスでは苫小牧市内で住み替えを検討中の方への売却・購入両面のサポートを提供しておりますので、お気軽にご相談ください。


この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。

※本記事は2026年5月現在の一般的な情報に基づきます。実際の手続きや控除額は個別事情により異なるため、税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。