父母・祖父母から住宅資金の贈与を受けた場合、省エネ住宅で1,000万円、一般住宅で500万円までが非課税となる強力な特例。しかし要件は意外と細かく、住宅の床面積・取得時期・贈与者との関係・所得制限など多数の落とし穴が存在します。
はじめに
住宅取得等資金贈与の非課税特例は、住宅購入時の最強の節税ツールのひとつです。2026年5月現在の制度は、省エネ等住宅で1,000万円、一般住宅で500万円までの贈与が非課税となるもので、贈与税の基礎控除110万円とも併用可能です。一見シンプルに見える制度ですが、適用要件は床面積・取得時期・住宅性能・受贈者の所得・贈与者との関係・申告期限など多岐にわたり、ひとつでも要件を欠くと特例が使えず、本則の贈与税が課税されます。本記事では、特例の詳細な要件と、実務上の落とし穴を解説します。
受贈者・贈与者の要件|年齢・続柄・所得制限を確認
【受贈者(もらう側)の要件】
・贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
・贈与年の合計所得金額2,000万円以下(給与収入なら年収約2,195万円以下)。ただし床面積40㎡以上50㎡未満の住宅の場合は所得1,000万円以下に制限
・日本国内に住所がある(一定要件で国外居住者も可)
【贈与者(あげる側)の要件】
・受贈者の直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母)であること
・養父母も含まれるが、配偶者の父母(義父母)は対象外(ただし養子縁組していれば対象)
・年齢制限なし
特に注意すべきは「配偶者の親からの贈与は対象外」という点。例えば夫が義父母(妻の両親)から住宅資金をもらっても、本特例は使えません。実務上は、義父母からの援助は妻が受贈者となり妻名義の持分として登記する、もしくは妻が一旦受贈してから夫の住宅ローン頭金として拠出する、といった工夫が必要です。
また、夫婦それぞれが自分の親から受贈する形なら、夫1,000万円+妻1,000万円=合計2,000万円の非課税枠を活用できる計算になります。共有名義での購入と組み合わせれば、大型援助の無税化が可能です。
住宅の要件|床面積・新築/中古・省エネ性能をチェック
【住宅の床面積要件】
・登記簿上の床面積40㎡以上240㎡以下
・店舗併用住宅は居住部分が床面積の1/2以上
【新築住宅の要件】
・建築後使用されたことのないもの、または住宅用家屋として使用される建物
・取得時期:贈与年の翌年3月15日までに引渡しを受け、居住開始(または同日後遅滞なく居住する見込み)
【中古住宅の要件】
・建築後使用されたことがあるもの
・築年数20年以内(耐火建築物は25年以内)、または新耐震基準適合(昭和57年1月1日以降建築)、または耐震基準適合証明書あり
【増改築の要件】
・自己所有の住宅で居住中のものに対する一定の増改築
・工事費100万円以上
・床面積40㎡以上240㎡以下になること
【省エネ等住宅の判定】
1,000万円枠の対象となる省エネ等住宅は、以下のいずれかを満たすもの:
・断熱等性能等級5以上または一次エネルギー消費量等級6以上
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
・高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
これらの証明には住宅性能評価書、長期優良住宅認定通知書、低炭素建築物新築等計画認定通知書などが必要。証明書類の取得時期は引渡しまでに完了している必要があります。
申告手続きと添付書類|期限を1日でも過ぎたらアウト
本特例の最大の落とし穴は「贈与税の確定申告期限内に申告しなければ適用されない」という一点です。
【申告期限】
贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日(贈与税の申告期限)
【提出書類】
・贈与税の申告書(第一表+第一表の二)
・受贈者の戸籍謄本(贈与者との続柄証明)
・贈与契約書
・住宅の登記事項証明書
・売買契約書または工事請負契約書の写し
・新築・取得時期を証する書類
・省エネ等住宅の場合:住宅性能評価書、長期優良住宅認定通知書等
・源泉徴収票(所得証明)
申告期限を1日でも過ぎると特例は適用されず、原則どおり課税されます。「3月15日までに住宅を取得できなかった」「翌年に申告を忘れていた」というケースは多く、年末に贈与を受けた場合は時間的余裕が極端に少なくなるため、贈与は年初〜春先に受けるのが安全策です。
また、特例適用後3年以内に居住しなかった場合などは特例適用が取り消され、贈与税が遡って課税されることもあります。「贈与を受けたが住宅取得を見送った」場合は税務署への届出と修正申告が必要です。
まとめ
住宅取得等資金贈与の非課税特例は、省エネ住宅で1,000万円、一般住宅で500万円までを無税で受贈できる強力な制度です。しかし受贈者の年齢・所得、贈与者との続柄、住宅の床面積・性能、取得時期、申告期限――多数の要件のすべてをクリアする必要があり、ひとつ欠けただけで特例不適用となります。実務では税理士・司法書士に事前相談し、贈与契約書の作成から確定申告まで一貫してサポートを受けるのが確実です。バナナハウスでは苫小牧市内で本特例を活用した住宅購入のサポートを多数行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月現在の一般的な情報に基づきます。実際の手続きや控除額は個別事情により異なるため、税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。


