登記簿謄本(登記事項証明書)は不動産の身分証明書。表題部・甲区・乙区の3部構成で、所有者・抵当権・差押え情報が記載されます。中古物件購入前に必ず確認すべき注意ポイントを実例付きで解説します。
はじめに
「登記簿謄本を取り寄せてみたけれど、専門用語ばかりで何が書いてあるのか分からない」――不動産購入を初めて経験する方の多くが感じる戸惑いです。しかし、登記簿には物件の権利関係・抵当権・差押えなど、買主の権利を脅かす重要情報がすべて記録されています。読み方を理解せず契約に進むと、購入後に思わぬトラブルに巻き込まれることも。本記事では登記簿の構造、各項目の意味、購入前にチェックすべきポイントを丁寧に解説します。
登記簿謄本とは|表題部・甲区・乙区の3部構成
登記簿謄本(正式名称:登記事項証明書)は、法務局が管理する不動産登記情報を証明する書類です。1通600円(書面交付、インターネット請求は500円)で誰でも取得可能。土地・建物それぞれに作成され、内容は次の3部構成です。
【表題部】不動産の物理的状況を記載。土地なら所在・地番・地目・地積、建物なら所在・家屋番号・種類・構造・床面積。法務局の登記官の職権で作成・更新される客観情報です。
【権利部 甲区】所有権に関する事項。誰が所有者か、いつ・どんな原因(売買・相続・贈与など)で取得したか、現在の所有者は誰か、過去の所有者は誰かが時系列で記載されます。
【権利部 乙区】所有権以外の権利。住宅ローンの抵当権、借入額、貸金者(金融機関)、地役権、賃借権などが記載。
これら3部を読み解くことで、物件の物理的状態、所有権の変遷、設定されている担保権がひと目で分かります。
表題部の読み方|地目・地積・床面積に注意
表題部では物件の物理的情報を確認します。チェックポイントは次の通り。
【地番と住居表示の違い】登記簿の「地番」は住所と一致しないことが多々あります。例:住所が「苫小牧市新富町1-1-1」でも地番は「苫小牧市新富町1丁目123番地」など。物件特定には地番が必要で、住所だけでは謄本取得できません。
【地目】土地の用途分類。「宅地」「田」「畑」「山林」「雑種地」「公衆用道路」など23種類。住宅を建てるには「宅地」が原則必要。「田」「畑」のままだと農地転用許可が必要で、農業振興地域なら転用不可のケースも。
【地積】土地の面積(㎡単位)。古い土地は実測と登記が異なる「縄延び・縄縮み」がよくあり、実測のほうが大きい・小さいケース両方あります。確定測量がされていれば実測値と登記値が一致しています。
【床面積】建物の延床面積。マンション広告でよく見る「壁芯面積」と登記の「内法面積」は約3〜5%違うので注意。住宅ローン控除の床面積要件(原則50㎡)はギリギリの物件で適用可否が変わるため、登記面積で必ず確認しましょう。
甲区の読み方|所有権の変遷と「差押」「仮処分」に要注意
甲区には所有権に関する登記がすべて時系列で並びます。「順位番号」「登記の目的」「受付年月日・受付番号」「権利者その他の事項」の4列で構成。
【現在の所有者の確認】最新の所有権移転登記の「権利者」欄が現在の所有者。売主が登記名義人本人と一致しているか必ず確認。共有名義(例:夫1/2・妻1/2)の場合、両者の署名捺印が売買契約に必要です。
【差押・仮差押・仮処分】これらの登記が入っていると要注意。所有者が借金返済できず財産が差し押さえられている、訴訟で財産処分が制限されている等の状態です。差押解除を売主が完了するまで購入は避けるべき。完了するまで残代金支払いを留保する条項を契約書に入れます。
【信託】所有権が「信託」されている場合は、登記名義人と実質的所有者が異なるケース。受託者の権限範囲を信託目録で確認する必要があります。
【相続未登記】売主は「自分が相続した」と主張していても、登記名義人が亡くなった親のままになっているケース。この場合、売却前に相続登記が必須です。2024年4月からは義務化で3年以内の登記が必要となっています。
乙区の読み方|抵当権・差押えで物件の真の負担を知る
乙区は所有権以外の権利を記載。実務上、最重要なのは「抵当権」です。
【抵当権の確認】住宅ローンが設定されている場合、抵当権が登記されます。「債権額」「債務者」「抵当権者(金融機関名)」「設定日」が記載。たとえば「債権額3,000万円・抵当権者○○銀行」とあれば、売主が3,000万円のローンを組んでいることが分かります。
中古物件購入時、売主は売買代金で残ローンを完済し、抵当権を抹消するのが一般的。決済日に売主・買主・金融機関・司法書士が集まり、ローン残高の返済→抵当権抹消登記→所有権移転登記→新たな抵当権設定登記を同時並行で進めます。抵当権抹消は売主側の責任ですが、購入時に「抵当権抹消保証契約」など売主の履行を担保する仕組みが必要です。
【根抵当権】事業者所有物件によく見られる「根抵当権」。一定の枠(極度額)内で繰り返し融資できる担保形態で、住宅ローンの抵当権より抹消が複雑。事業者から物件購入時は要注意です。
【賃借権登記】通常賃貸契約は登記されませんが、長期借家・サブリース等で登記されているケースも。登記された賃借権は所有権変動後も新所有者に承継されます。
まとめ
登記簿謄本は不動産の「身分証明書」。表題部で物理的状況、甲区で所有権の変遷と差押有無、乙区で抵当権の状況を必ず確認しましょう。中古物件購入時は契約前に必ず買主自ら(または仲介業者経由で)最新の謄本を取得して確認すべき。専門用語に戸惑ったら宅建士・司法書士に解説してもらうのが安心です。バナナハウスでは契約前の登記情報確認も丁寧にサポートします。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月現在の一般的な情報に基づきます。実際の手続きや控除額は個別事情により異なるため、税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。


