住宅ローンに付随する抵当権と、事業用融資で活用される根抵当権。どちらも担保物権ですが性質は大きく異なります。設定から抹消までの実務を整理します。
はじめに
不動産を担保に融資を受ける際、登記簿に必ず登場するのが抵当権または根抵当権です。住宅購入で住宅ローンを組めば抵当権が設定され、事業者が運転資金の枠を確保すれば根抵当権が設定されます。両者は似て非なるもので、設定範囲や消滅事由、抹消手続きが異なります。苫小牧市内で不動産売買を行う際にも、買主が住宅ローンを組むなら抵当権の設定が、売主の物件に既存の抵当権があれば抹消が必要になります。本記事では両者の違いと実務上のポイントを整理します。
抵当権の基本と特徴
抵当権は民法第369条以下に規定された担保物権で、特定の債権を担保するために不動産に設定されます。住宅ローン3000万円を借りた場合、その3000万円という具体的な債権を担保するために抵当権が設定され、債務者が返済不能になれば抵当権者(金融機関)が競売により回収します。抵当権は付従性という性質を持ち、被担保債権が完済されれば自動的に消滅します。ただし登記簿上の記載は自動では消えないため、別途抹消登記が必要です。住宅ローン完済後に登記簿を放置すると、売却時に問題となるため、完済時に銀行から交付される「弁済証書」「登記識別情報通知」等を持って司法書士に抹消登記を依頼するのが一般的です。抹消登記の登録免許税は不動産1個につき1000円、司法書士報酬は1万5000円から3万円程度です。
根抵当権の柔軟性と債権の範囲
根抵当権は民法第398条の2以下に規定され、「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する」担保物権です。事業者が取引銀行と継続的に融資を受ける場合、借入と返済を繰り返すたびに抵当権を設定し直すのは煩雑なため、極度額(例えば5000万円)の枠内で繰り返し利用できる根抵当権が活用されます。被担保債権の範囲は「銀行取引」「商品売買取引」などで設定され、特定の債権ではない点が抵当権との大きな違いです。元本確定前は債権が変動しても根抵当権は存続し、付従性がありません。元本確定とは、ある時点で被担保債権を確定させる手続きで、確定後は通常の抵当権に近い性質となり、抹消には債権者の同意と確定登記が必要となります。元本確定請求は設定から3年経過後または当事者の合意で行えます。
売買時の抵当権・根抵当権抹消手続き
不動産売却時、既存の抵当権・根抵当権は買主への引渡し前に抹消する必要があります。抵当権の場合、売却代金で残債を完済し、銀行から交付される抹消書類を司法書士に渡して移転登記と同時に抹消登記を行います。手続きは決済当日に同時履行で行われ、買主は抵当権のないクリーンな所有権を取得できます。根抵当権の場合は手続きがやや複雑で、まず元本確定を行い、確定債権額を完済した上で根抵当権抹消登記を申請します。元本確定登記の登録免許税は不動産1個につき1000円、根抵当権抹消も同額です。実務では事業者の方が自宅も担保に入れているケースが多く、自宅売却時にメインバンクとの調整が必要となります。場合によっては他の不動産への担保差替えで対応することもあります。苫小牧市内で事業を営む方が住み替えをする際は、早めに金融機関に相談することが重要です。
まとめ
抵当権と根抵当権は同じ担保物権でも性質が大きく異なります。抵当権は特定債権を担保し付従性を持つのに対し、根抵当権は極度額の枠内で不特定債権を担保する柔軟な制度です。売却時の抹消手続きにも差があるため、自分の物件に設定されている担保が何かを把握することが重要です。バナナハウス株式会社では苫小牧市での売却サポートにおいて、抵当権抹消の段取りも含めて丁寧にご案内しています。ご相談ください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月現在の一般的な情報に基づきます。実際の手続きは個別事情により異なるため、税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。


