老朽化した街区を一体的に再生する市街地再開発事業。都市再開発法に基づくしくみと、対象地の権利者に対する補償や権利変換について解説します。
はじめに
中心市街地の老朽化したビルや住宅が密集する街区を一体的に建て替え、近代的な都市空間に再生する事業が「市街地再開発事業」です。都市再開発法に基づき行われる公共性の強い事業で、対象地区の権利者は所有権や借地権を「権利変換」という手続きで新しい建物の所有権や床に置き換えます。苫小牧市でも中心市街地活性化の一環として再開発事業が検討される時期があり、対象地に物件を持つ方は権利の扱いを理解しておく必要があります。本記事では都市再開発法の基本としくみ、権利変換、補償について解説します。
都市再開発法と市街地再開発事業
都市再開発法は1969年制定の法律で、都市の機能回復と土地の合理的利用を目的としています。市街地再開発事業は同法に基づき施行され、第一種事業(権利変換方式)と第二種事業(管理処分方式・用地買収方式)に分かれます。第一種事業は権利者が新しいビルの権利床を取得する方式で、商業地や住宅地の再開発でよく用いられます。第二種事業は権利者から土地建物を買収する方式で、大規模で緊急性の高い再開発で適用されます。施行者は個人施行者、市街地再開発組合、地方公共団体、都市再生機構などがあります。事業区域の指定、事業計画の決定、権利変換計画の認可、工事実施、建物処分という流れで進み、計画決定から完成まで通常5〜10年かかります。事業区域は都市計画決定が必要で、原則として高度利用地区または都市再生特別地区内であることが要件です。
権利変換のしくみと補償
第一種市街地再開発事業の核となるのが「権利変換」です。事業区域内の土地所有権、借地権、借家権などの権利を、新しい建物の権利床(区分所有権、敷地共有持分など)に変換します。変換の評価は不動産鑑定士による公正な評価に基づき、従前資産(既存の土地建物の価値)と等価の権利床が割り当てられます。例えば1億円の従前資産であれば、新ビル内に1億円相当の権利床(例えば50平方メートルのオフィス区分)が割り当てられるイメージです。借家人にも借家権の補償があり、新ビルでの借家継続権または金銭補償が選択できます。事業に協力したくない権利者には、買取請求権が認められ、現金で資産を売却して事業から離脱することも可能です。さらに事業協力者には税制優遇があり、租税特別措置法に基づく特別控除(5000万円控除など)が適用されます。権利床取得の登録免許税も大幅に軽減されます。
再開発事業対象地の物件取引
再開発事業が予定されている、または進行中の地区にある物件は、取引時にいくつかの注意が必要です。第一に事業計画の進捗状況を確認すること。計画段階、事業計画決定段階、権利変換計画認可段階、工事中、完成後など、ステージにより物件の価値や手続きが大きく異なります。第二に従前資産評価額の見込みを把握すること。再開発事業で割り当てられる権利床の価値は従前資産評価により決まるため、評価額が物件購入価格より高いか低いかで投資判断が変わります。第三に権利変換後の事業性を見極めること。新ビルの賃料収入や売却益が見込めるかは、立地や規模、テナント需要次第です。第四に長期間の権利凍結に耐えられるか。再開発は計画から完成まで5〜10年かかるため、その間の経済的余裕が必要です。苫小牧市内では中心市街地活性化基本計画が策定されていますが、大規模再開発の実績は限定的です。今後の都市政策動向を注視しながら、対象地の不動産取引を検討することになります。
まとめ
都市再開発法は街の更新を進める強力な制度ですが、関係権利者の権利を慎重に扱う複雑な仕組みを備えています。権利変換、補償、税制優遇を正しく理解することで、再開発を機会として活かせます。バナナハウス株式会社では苫小牧市内の中心市街地物件についても、再開発動向を踏まえたアドバイスを提供しています。ご相談ください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月現在の一般的な情報に基づきます。実際の手続きは個別事情により異なるため、税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。


