不動産を複数人で共有する際の持分登記。相続や夫婦共有での取得時に発生する権利関係について、管理・処分・分割のルールを解説します。
はじめに
不動産を一人で所有するのではなく、夫婦や兄弟、複数の相続人で共同所有することがあります。これを「共有」と呼び、各共有者は「持分」という形で所有権を分け合います。持分は登記簿の権利部甲区に「所有者A 持分2分の1」「所有者B 持分2分の1」のように記載されます。共有不動産の管理や処分には民法のルールがあり、単独所有の場合とは異なる配慮が必要です。苫小牧市内でも相続による共有不動産は多く、本記事ではその取扱いを整理します。
共有持分の登記方法と決定
不動産を共有取得する場合、登記には各共有者の氏名と持分を記載します。例えば夫婦で住宅を購入し、頭金や住宅ローンの負担割合が均等なら持分各2分の1とします。一方、夫が頭金の大半を負担し妻はローン共同名義のみという場合、夫の持分は7、妻の持分は3といった配分にすることが一般的です。持分の決定にあたっては実際の出資割合を反映させることが重要で、出資と乖離した持分設定をすると贈与税の課税対象となる可能性があります。例えば妻が出資ゼロにもかかわらず持分2分の1にすれば、夫から妻への贈与とみなされ、年間110万円の贈与税基礎控除を超える部分に贈与税が課されます。3000万円の物件で2分の1なら1500万円の贈与となり、贈与税額は約450万円と高額になります。共有取得時には税理士に相談して適切な持分設定を行うことが大切です。
共有物の管理・処分のルール
共有不動産の管理は民法第249条以下に詳細なルールがあります。第一に保存行為(修理や雨漏り補修など)は各共有者が単独で行えます。第二に管理行為(賃貸や軽微なリフォーム)は持分の過半数の同意が必要です。2021年改正民法で短期賃貸借(土地5年、建物3年)も管理行為とされました。第三に変更行為(大規模リフォーム、抵当権設定など)は共有者全員の同意が必要です。第四に処分行為(売却、共有持分の譲渡)は全員同意または各共有者の持分単独処分となります。共有者の一人が自分の持分のみを第三者に売却することは可能ですが、買主は他の共有者とともに共有関係に入ることになります。共有持分は買い手がつきにくく、流通市場では持分相当額の30〜50%程度でしか売れないのが実情です。共有不動産から賃料収入がある場合、各共有者は持分割合に応じて取得し、確定申告も別々に行う必要があります。
共有解消と分割請求
共有関係を解消したい場合、民法第256条以下の共有物分割請求が活用できます。共有者は何時でも分割を請求でき、他の共有者と協議します。協議が整えば現物分割、代金分割、価格賠償のいずれかで分割します。協議が整わない場合は裁判所に共有物分割訴訟を提起し、裁判所が最適な分割方法を決定します。実務では代金分割(物件を売却して代金を持分割合で分ける)が多く、価格賠償(一方が他方の持分を買い取る)も選択肢となります。共有者の一人が行方不明の場合、2023年改正民法第262条の2により所在等不明共有者の持分取得制度が新設され、裁判所の決定により他の共有者が不明者の持分を取得できるようになりました。これにより長年放置されていた共有問題の解決が進めやすくなっています。相続による共有を避けるためには、遺言で共有を回避する財産分配を指定する、生前贈与で単独所有化する、家族信託を活用して所有を集中させるなどの方法があります。苫小牧市内でも相続を機に共有不動産が増えがちですが、早めの対策で将来のトラブルを避けられます。
まとめ
共有不動産は便利な反面、管理や処分での意思決定が複雑になりがちです。持分割合の適正設定、管理行為の合意形成、将来の分割方法など、共有開始時から長期的視点を持つことが大切です。バナナハウス株式会社では苫小牧市内の共有不動産取引や、共有解消のサポートも行っています。お困りの方はぜひご相談ください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月現在の一般的な情報に基づきます。実際の手続きは個別事情により異なるため、税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。


