親からの援助で家を買うときに直面する贈与税、親の家を受け継ぐときの相続税――いずれも非課税枠や特例を活用すれば負担を大きく減らせます。住宅取得資金贈与の最大1,000万円非課税、相続税の小規模宅地特例80%減額など、押さえるべき制度を整理します。
はじめに
「親に住宅資金を出してもらいたいけど贈与税が心配」「実家を相続したら税金はどれくらい?」――不動産にまつわる贈与税・相続税の悩みは尽きません。日本の贈与税・相続税は世界的にも高い水準で、最高税率55%。しかし、住宅取得や事業承継には複数の非課税特例が設けられており、上手に活用すれば数百万円〜数千万円の節税が可能です。本記事では、住宅購入・保有・相続のシーンごとに、知っておくべき税制を実例で解説します。
贈与税の基本|年間110万円の非課税枠
贈与税は、個人から個人へ財産を無償で渡したときにかかる税金です。1年間(1〜12月)に受け取った財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残りに、10〜55%の税率が適用されます。
例:親から400万円の贈与を受けた場合、(400万円−110万円)×15%−10万円=33.5万円の贈与税。1,000万円なら(1,000万円−110万円)×40%−125万円=231万円と、贈与額が増えるほど税率が累進的に上がります。
贈与税の節税には「暦年贈与」と「相続時精算課税」があります。暦年贈与は年110万円の基礎控除を毎年使う方法で、子1人に対し10年で1,100万円までは無税で移転可能。相続時精算課税は2,500万円までは贈与時に無税で、相続時に精算する仕組み(2024年改正で年110万円までの基礎控除が新設され、超えた分のみ相続財産に加算)。住宅資金援助なら次に解説する非課税特例との併用が定番です。
住宅取得資金贈与の非課税特例|最大1,000万円
子・孫が住宅を新築・取得・増改築するための資金を父母・祖父母から贈与された場合、一定額まで贈与税が非課税となる強力な特例があります。
【非課税枠(2026年5月現在)】
・省エネ等住宅(断熱等性能等級4以上等の認定住宅):1,000万円
・上記以外の一般住宅:500万円
これは贈与税の基礎控除110万円とも併用できるので、省エネ住宅なら最大1,110万円まで無税で受贈可能。例えば長期優良住宅の頭金として親から1,000万円もらっても、贈与税はゼロです。
【適用要件】
・受贈者が18歳以上、贈与年の合計所得2,000万円以下
・贈与年の翌年3月15日までに住宅取得し、居住する
・床面積40〜240㎡(合計所得1,000万円超の場合は50㎡以上)
・贈与年の翌年に確定申告を行う
注意点として、特例の適用には必ず確定申告が必要です。「もらった額が非課税枠以下だから申告不要」と思い込んで申告しないと、特例が適用されず本則の贈与税が課税される事態に。1,000万円もらった場合、申告漏れで231万円の納税義務発生もあり得るので要注意です。
相続税の基礎|基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人数」
相続税は被相続人(亡くなった方)の遺産総額が基礎控除を超える部分に課税されます。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。
例:父が亡くなり、母と子2人が相続する場合、基礎控除は3,000万円+600万円×3=4,800万円。遺産が4,800万円以下なら相続税はゼロ、申告も不要です。一般的な家庭では遺産が自宅3,000万円+預金1,500万円で計4,500万円といったケースが多く、基礎控除内に収まるパターンも少なくありません。
ただし、土地建物の評価額は意外と高くなる傾向があり、特に都市部の土地は路線価で評価されると相続税課税ラインに乗ることも珍しくありません。北海道苫小牧市内の住宅地は路線価で1㎡5〜15万円程度が多く、敷地150㎡なら土地評価額750万〜2,250万円。建物は固定資産税評価額(売買価格の50〜70%程度)。
小規模宅地特例|自宅の土地が最大80%減額
相続税の最強の節税制度が「小規模宅地等の特例」です。被相続人が住んでいた自宅の土地(特定居住用宅地)を、配偶者または同居していた親族が相続する場合、330㎡までは土地評価額が80%減額されます。
例:自宅敷地200㎡・路線価評価1,500万円の場合、特例適用で評価額は300万円に。一気に1,200万円も相続財産が圧縮できます。これにより基礎控除内に収まり、相続税ゼロとなるケースが多発します。
【適用要件】
・配偶者が相続→無条件で適用
・同居親族が相続→相続開始から相続税申告期限まで居住・所有を継続
・別居親族(家なき子特例)→被相続人に配偶者・同居親族がおらず、相続人が相続開始前3年間借家住まいなど一定要件
事業用宅地(特定事業用宅地400㎡まで80%減)、貸付事業用宅地(200㎡まで50%減)も同様の特例があります。複数該当する場合は限度面積調整あり。要件が複雑なため、適用判断は税理士に相談するのが確実です。
まとめ
不動産に関わる贈与税・相続税は「住宅取得資金贈与の非課税1,000万円」「小規模宅地特例80%減」を知っているか否かで数百万円規模の差がつきます。贈与でも相続でも「特例適用には確定申告・相続税申告が必須」というのは共通の落とし穴。親の援助を受けるとき、相続が発生したときは、早めに税理士に相談しましょう。バナナハウスでは提携税理士のご紹介もしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は2026年5月現在の一般的な情報に基づきます。実際の手続きや控除額は個別事情により異なるため、税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。


