マイホームを売って損失が出た場合、給与所得や事業所得と相殺できる「損益通算」と、3年間の「繰越控除」が使えます。要件と申告のポイントを解説します。
はじめに
住宅ローン残債が市場価格を上回るオーバーローン状態で売却すると、譲渡損失が発生することがあります。譲渡損失は通常の譲渡所得とは分離課税のため、原則として給与所得などとは通算できません。しかしマイホーム売却に限り、特例として給与所得と相殺できる「損益通算」と、相殺しきれない損失を翌年以降3年間繰り越せる「繰越控除」が認められています。この制度を活用すれば、売却年から最大4年間にわたって所得税・住民税を還付・軽減できます。本記事では制度の概要、適用要件、節税効果の試算例を解説します。
損益通算と繰越控除の仕組み
損益通算とは、譲渡損失をその年の他の所得(給与所得・事業所得など)から差し引いて課税対象を減らす制度です。たとえば年収700万円(所得約500万円)の方が、マイホーム売却で500万円の損失を出した場合、損益通算により所得が0円となり、その年の所得税・住民税が大幅に還付されます。さらに繰越控除は、損益通算で相殺しきれなかった損失を、翌年以降最長3年間繰り越して所得から差し引ける制度です。最初の例で1,200万円の譲渡損失が出た場合、初年度に500万円を相殺、残り700万円を翌年に繰り越し、翌々年・3年後にもさらに繰り越して所得を減らせます。最終的に4年間で1,200万円分の所得圧縮ができるため、所得税率20%・住民税率10%の方なら、合計360万円の節税効果が見込めます。
適用要件と2つの特例
損益通算と繰越控除には2種類の特例があり、それぞれ要件が異なります。1つ目は「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」で、マイホームを売却して新居に買い替える場合に使えます。要件は、(1)所有期間5年超、(2)売却の前年から翌年までの3年間に新居を購入、(3)新居の床面積50㎡以上、(4)新居取得後10年以上の住宅ローンを利用、などです。2つ目は「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」で、買い替えなしの売却でも使えます。要件は、(1)所有期間5年超、(2)売却した居住用財産の住宅ローン残債が売却価格を上回るオーバーローン状態、(3)合計所得金額3,000万円以下、などです。両特例とも住宅ローン控除との併用が可能で、新居を住宅ローンで購入する場合は住宅ローン控除も同時に活用できます。
申告手順と注意点
譲渡損失の損益通算・繰越控除を受けるには、損失が出た年の確定申告で「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書」を提出します。必要書類は、(1)売却物件と新居の登記事項証明書、(2)売買契約書のコピー、(3)新居の住宅ローン残高証明書、(4)旧居の住宅ローン残高証明書(オーバーローンの場合)、(5)戸籍の附票または住民票の除票、などです。一度損益通算を申告した後の3年間は、損失が残っている限り毎年確定申告が必要で、申告し忘れると繰越控除が打ち切られるため注意してください。給与所得者の場合、源泉徴収で先払いされた所得税が還付され、住民税も翌年度から減額されます。たとえば年間200万円の損失を繰り越している場合、所得税の還付20〜40万円、住民税の減額10〜20万円、合計30〜60万円の効果が毎年得られます。
まとめ
マイホーム売却で損失が出ても、損益通算と繰越控除を使えば最大4年間にわたって所得税・住民税を圧縮でき、合計100万円〜400万円の節税効果が見込めます。買い替えあり・なしで適用条件が異なるため、自分が使える特例を税理士に確認しましょう。バナナハウス株式会社では譲渡損失が出る見込みの売却についても、節税効果の試算をご提示しサポートします。オーバーローンでの売却を検討されている方は、損失分の取り戻し戦略を含めてご相談ください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。


