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売主が知らなかった瑕疵(契約不適合)の責任
トラブル対処・Q&A 2026年05月27日

売主が知らなかった瑕疵(契約不適合)の責任

2020年の民法改正により、住宅売買では「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」へと変わりました。本記事では売主が知らなかった欠陥が後から発覚した場合の責任、買主が請求できる対応、契約条項の落とし穴と予防策を解説します。

はじめに

「中古住宅を購入したら、引渡し後にシロアリ被害が見つかった」「売却した家の屋根裏に雨漏り痕が残っていたと、買主からクレームが来た」――不動産売買では、引渡し後に隠れた欠陥が発覚するケースが少なくありません。売主が認識していなかった欠陥であっても、状況によっては責任を問われる可能性があります。2020年の民法改正で、長く使われてきた「瑕疵担保責任」の概念が「契約不適合責任」に置き換わり、買主の権利が一部強化されました。本記事ではこの責任の基本と、紛争予防のポイントを整理します。

契約不適合責任とは何か

契約不適合責任とは、引き渡された目的物が契約内容に適合していない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。改正前の瑕疵担保責任は「隠れた瑕疵」が対象でしたが、改正後は「契約の内容に適合するか」が判断基準となり、売主が知っていたかどうかは原則として責任の有無に直接影響しません。買主が請求できる手段は、追完請求(修補や代替物引渡し)、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除の四つです。改正前と比較して、買主の選択肢が広がっており、売主にとってもリスクが顕在化しやすい制度設計になっています。中古住宅・土地・新築いずれの売買でも、この責任は基本的に発生します。

紛争になりやすい典型事例

実務上紛争になりやすいのは、雨漏り、給排水管の漏水・詰まり、シロアリ被害、構造躯体の欠陥、土壌汚染、地中埋設物などです。これらは引き渡し時点では発見が難しく、入居後しばらくして判明することが多いため、紛争に発展しがちです。たとえば「引渡しから半年後に床下のシロアリ被害が発覚した」場合、買主は売主に対して修補費用や代金減額を請求できる可能性があります。売主側が責任を回避するには、契約段階で物件状況確認書(告知書)に既知の不具合を正直に記載し、契約書に契約不適合責任の範囲・期間を明記しておくことが重要です。「現状有姿で引渡し」「契約不適合責任を免責する」といった特約も、消費者保護の観点から無条件には認められないため、適切な助言が欠かせません。

売主・買主それぞれの予防策

売主としては、売却前にホームインスペクション(建物状況調査)を実施し、不具合の把握と告知を徹底することが最大の自衛策です。既知の問題は正直に告知書へ記載し、買主の確認サインをもらっておくことで、後の紛争を予防できます。買主としては、契約前のインスペクションを自ら依頼し、過去の修繕履歴・住宅性能評価書・既存住宅売買瑕疵保険の付保可否などを必ず確認しましょう。既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば、引渡し後の不具合発見時に保険金で修繕費用がカバーされ、売主・買主どちらにも安心材料となります。仲介する不動産会社の説明責任も大きく、信頼できる業者を選ぶことが、結果的に紛争予防の最も確実な方法と言えます。

まとめ

契約不適合責任は、売主・買主の双方にとって重要なルールです。「知らなかったから免責」とはならない時代になり、契約段階での情報開示と書面整備の重要性は一層増しています。トラブル予防には、ホームインスペクション、瑕疵保険、丁寧な告知書作成という三つの基本動作が有効です。売却・購入のいずれを検討する場合も、契約内容と特約の意味を理解した上で進めることが大切です。専門家の力を借りながら、安心できる取引を実現していきましょう。


この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。