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登記名義人と異なる売主への対応
トラブル対処・Q&A 2026年05月28日

登記名義人と異なる売主への対応

不動産売買で売主と登記名義人が異なるケースは要警戒です。本記事ではその確認方法と対処法を整理します。

はじめに

不動産取引では、売買契約の売主と登記簿上の所有者(登記名義人)が一致することが基本です。一方、相続未了・離婚未済・代理権限が不明確など、売主と名義人が一致しないケースもあり、慎重な対応が必要となります。本記事では登記名義人と異なる売主への対応、確認方法、リスク回避策を整理します。

名義人と売主が異なるパターン

不動産取引で、名義人と売主が異なるケースには複数のパターンがあります。第一に、相続未了の物件です。所有者が亡くなった後、相続登記が未了の物件で、相続人の一人または複数人が売主として取引するケースです。複数の相続人がいる場合、全員の同意がなければ売却できないため、共有者全員の参加が必要となります。第二に、離婚に伴う名義変更未了です。離婚協議で財産分与により所有権が移転すべき場合でも、登記名義の変更が未了のまま、名義変更すべき側が売却するケースです。第三に、共有名義の物件です。複数人が共有持分を有する物件で、共有者の一人が単独で売却する場合(その共有者の持分のみの売買として扱われます)、または共有者全員が売主となって全体を売却する場合があります。第四に、代理人による取引です。所有者の代理人として売主が登場するケースで、委任状・印鑑証明書などで代理権の確認が必要となります。所有者が高齢で施設入所中、海外居住、病気で取引参加困難などの場合に代理取引が行われます。第五に、なりすまし詐欺(地面師詐欺)です。所有者になりすまして、本人の意思に基づかない売却を企てる詐欺手口です。書類偽造・本人確認の偽装などで、本物の所有者の知らないうちに登記が移転される事例があります。これは犯罪行為で、被害者にとって重大なトラブルとなります。

確認・調査のポイント

名義人と異なる売主との取引では、慎重な確認・調査が必要です。第一に、登記簿の確認です。法務局で取得できる登記事項証明書(登記簿謄本)で、現在の所有者・抵当権・差押え等を確認します。名義人と売主が異なる場合、その理由・経緯を明確化する必要があります。第二に、本人確認の徹底です。売主の本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード等)、印鑑証明書、住民票などを慎重に確認します。書類の真偽、写真と本人の一致、氏名・住所の一致などを目視確認し、不審な点があれば追加確認を求めます。第三に、相続未了物件の場合です。被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)、相続人全員の戸籍謄本・住民票、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などを確認します。法定相続人全員が売主として参加するか、相続人を代表する者の代理権限が明確かを確認します。相続登記が未了でも売買は可能ですが、買主名義への登記前に相続登記を完了する必要があり、手続きが複雑になります。第四に、代理取引の場合です。委任状の真正性、代理権の範囲、本人の意思確認方法などを慎重に確認します。可能であれば、本人と直接面談または通話で意思確認することが望ましいでしょう。第五に、買主側の専門家活用です。司法書士による登記関連書類の確認、弁護士による契約内容のリーガルチェックなど、専門家を介在させることで、リスクの早期発見と適切な対応が可能となります。

リスク回避策と保険活用

リスク回避のための具体策と、万一の備えを整理します。第一に、決済日まで本人確認を継続することです。契約締結時だけでなく、決済日にも本人確認書類の再確認、本人面談などを行います。地面師詐欺は決済直前まで偽装が続くことが多く、複数段階での確認が抑止策となります。第二に、登記情報の事前確認・直前確認です。決済直前にも登記事項証明書を取得し、直近の登記変動(差押え・他の抵当権設定など)がないか確認します。第三に、所有権移転登記の同時履行です。買主側の司法書士が、代金支払いと同時に所有権移転登記の申請を行う仕組み(同時履行)により、代金支払後に登記ができないリスクを回避します。第四に、エスクロー的な仕組みの活用です。代金を司法書士等の第三者口座に預け、登記完了と引き換えに売主に支払う仕組みで、安全性を高められます。一部の業者・司法書士事務所で提供されています。第五に、不動産取引にかかる損害保険です。所有権移転後に判明する瑕疵・権利問題に対する保険商品もあり、大型取引では検討の価値があります。第六に、契約書での売主の責任明確化です。「本物件について売主が単独で処分権限を有する」「将来権利問題が発生した場合の損害賠償責任を負う」といった条項を契約書に明記し、後の救済可能性を確保します。これらの対策を組み合わせることで、名義人と売主が異なる取引のリスクを大幅に軽減できます。

まとめ

登記名義人と異なる売主との取引は、相続・離婚・代理・なりすましなど多様な背景があり、それぞれに応じた慎重な確認が必要です。専門家を活用し、本人確認・書類確認・同時履行の仕組みでリスクを管理することが、安全な取引のカギです。バナナハウス株式会社では、苫小牧で複雑な所有権関係の不動産取引にも、専門家連携で対応しております。


この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。