共有不動産で意見が割れた場合、共有物分割請求という手続きがあります。本記事ではその仕組みと解決方法を整理します。
はじめに
共有不動産では、複数の所有者が共同で所有権を持つため、活用・売却の意思決定に全員の合意が必要です。意見が割れて何も決められない状況になると、不動産が活用できないだけでなく、固定資産税負担などの問題も生じます。こうした状況を打開する手段として、民法上「共有物分割請求」という制度があります。本記事ではその仕組みと解決の選択肢を整理します。
共有不動産の基本ルール
共有不動産には、いくつかの基本ルールがあります。第一に、共有者の権利です。各共有者は、共有持分の割合に応じて不動産から利益を得る権利を持ちます。賃料収入があれば持分割合で分配され、売却代金も同じく分配されます。第二に、保存行為・管理行為・変更行為の区別です。保存行為(修繕・維持など)は単独の共有者が単独で実施可能です。管理行為(賃貸・改良など)は共有持分の過半数の同意が必要です。変更行為(売却・大規模改造など)は共有者全員の同意が必要です。第三に、共有持分のみの処分は単独で可能です。自分の共有持分(たとえば3分の1)を第三者に売却することは、他の共有者の同意なしに可能です。ただし、買主は引き続き共有状態の一員となり、他の共有者と協議する立場になります。第四に、共有物分割請求権です。各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できる権利を持ちます(民法256条)。この権利により、共有状態を解消する道が常に開かれています。
共有物分割の方法
共有物分割には、いくつかの方法があります。第一に、現物分割です。共有不動産を物理的に分割し、各共有者が単独所有する区画を取得する方法です。土地であれば分筆して各共有者の単独所有とする方法が典型例です。建物は物理的分割が困難なため、現物分割は土地で多く用いられます。地形・面積によっては現物分割が不可能・不公平となる場合もあります。第二に、代金分割(換価分割)です。共有不動産を第三者に売却し、売却代金を持分割合で分配する方法です。共有者全員が現金で受け取れる利点がありますが、不動産自体を失うことになります。市場価格での売却が前提となり、合意できれば任意売却、できなければ裁判所の競売手続きで売却します。競売では市場価格より低い価格になることが多く、当事者にとって不利となる場合があります。第三に、代償分割(賠償分割)です。特定の共有者が不動産全体を取得し、他の共有者に持分相当額の金銭を支払う方法です。「物件を残したい共有者」と「現金で解決したい共有者」のニーズが合致する場合に有効です。物件を取得する共有者に十分な資金力が必要です。第四に、これらの組み合わせです。一部現物分割・一部代金分割など、ケースに応じた柔軟な分割方法も可能です。当事者間の協議または裁判所の判断で、ケースに最適な方法が選ばれます。
共有物分割請求訴訟の進め方
共有者間で合意できない場合、共有物分割請求訴訟を提起します。訴訟の進め方は次の通りです。第一に、訴訟の前段階として協議・調停です。いきなり訴訟提起する前に、共有者間での協議、難航する場合は家庭裁判所の調停(特定の場合)または地方裁判所での調停を試みるのが一般的です。協議・調停で合意できれば、裁判所の関与なしに分割が可能です。第二に、訴訟提起です。協議・調停で合意できない場合、地方裁判所に共有物分割請求訴訟を提起します。原告は分割を求める共有者、被告はその他の共有者全員です。第三に、審理と判決です。裁判所は当事者の主張・証拠を踏まえ、現物分割・代金分割・代償分割のいずれが適切かを判断します。判決では、具体的な分割方法と各共有者への配分が示されます。第四に、判決の執行です。代金分割の場合、判決に基づき不動産が競売にかけられ、売却代金が共有者に分配されます。現物分割の場合は、判決に従って分筆・登記変更などが行われます。代償分割の場合は、判決で定められた金銭の支払いと、共有持分の移転登記が行われます。第五に、訴訟期間と費用です。訴訟は1〜2年程度かかることが多く、訴訟費用・弁護士費用なども発生します。早期解決と費用効率の観点からは、訴訟前の協議・調停で合意することが望ましいでしょう。
まとめ
共有不動産の分割は、現物分割・代金分割・代償分割の選択肢があり、当事者の状況に応じた最適な方法を選ぶことが大切です。当事者間で合意できれば任意で進められ、合意できない場合は最終手段として訴訟という道があります。バナナハウス株式会社では、苫小牧で共有不動産の協議・整理に関するご相談、専門家のご紹介を承っております。共有持分のお悩みはお気軽にご相談ください。
この記事は北海道苫小牧市の不動産仲介会社「バナナハウス株式会社」のコラムです。住宅の購入・売却・賃貸についてご相談はお気軽にお問い合わせください。


